2012年1月16日月曜日

冬の日常 2

今朝フクロウを見た。それは散歩途中の電信柱にとまっていた。

ここは里からは車で十数分ほど山を登ったところにある。小さな尾根の頂上をならして別荘地にしたところである。里に下りるには南に行く道と北に行く道の両方が使えて便利である。さらに東京に行くにも中部横断道の入り口までは十数分である。一般道なら軽井沢経由の国道18号、もしくは国道254号、そして清里を経由して行く中央道もさほど不便ではない。高速バスなどは東京行きが一日に二十五、六往復あるし、新幹線なら一時間と少しで東京駅である。

我が居城を構えるにあっては、那須や郡山もその候補地であったが、休日の交通混雑や災害がおきた時のことを考えて佐久にしたのである。浅間山はA級の活火山であり、そのことを内外の友人たちに話すと大丈夫かと、一応の心配はしてくれるが、なにその噴煙のほとんどは東京方面にゆくのである。僻み(ひがみ)根性の旺盛な私としては、浅間山が本格的に噴火すれば軽井沢は危ないと思う。そもそも軽井沢は季節によって街中や幹線道路の混み具合は相当なものである。名はあっても実のある場所ではないのである。

父が鉱山技師であったため、私は父の赴任先の北海道の山の中で生まれた。13才の時に秋田に移り、青年期前半を雪国で過ごした。そのせいであろう、我が日本の居城は雪国であらねばならぬと決めていた。長く過ごした東京の夏にも辟易していたが東京からあまり離れるのはいやだった。それが故に佐久は妥協点としてはかなりいい条件だったのである。

佐久は雪が適度に降る。綺麗だな、と思える程度に降る。車はやはり四輪駆動車が必要だが、それは里からの帰り道は曲がりくねった雪の坂道を登らねばならないからである。除雪に往生することはない。それどころか雪の降った朝などは周囲の景色のみならず、そこここある動物の足跡が楽しみなのだ。

ここの普段の生活で見かける動物と言えば、タヌキ、キツネ、ネコ、コイ(佐久の名物^^)、イノシシ、シカ、カモシカ、カマイタチ(カマは苦し紛れです)、ハクビシン、テンなど。ウサギなども多いがマッコウクジラは見たことがない。このうちシカとタヌキは目撃頻度が極めて高い。

雪が降ると動物の足跡がはっきりと残る。私の家の庭は現在造園の真最中で、ようやく地形をならし終えたところである。今のところほぼ平らなので雪が降ると動物たちのお散歩経路になる。今年はウサギが多い。お隣のSさんは留守中に庭のスティックブロッコリーを根元から食われたと言って苦笑いをしておられた。

二年前の冬のことである。庭にどんなお客さんが来るのかを知りたくて一計を案じた。すなわち簡単な罠を仕掛けたのである。罠といってもその動物を害したり捕らえたりするためのものではない。長さ30cmほどの細めの木片に割れ目を入れてそこにイワシを挟み庭先に置く。イワシは簡単にはとれないようにきつめに挟む。この木片の端にテグスを結わえ、ガラス戸をわずかに開けて居間に引き入れる。室内のテグスの端には鈴を着ける。来客は夜半過ぎだろうとテレビを見ていたら、チリンと鈴が鳴ってテグスが引っ張られた。。意外にも早々のお出ましだった。お客様はテン様であった。



その後何回仕掛けてもその度にお客は現れた。上の写真は一昨年の5月に撮影したもので、ガラス戸越しにフラッシュを焚いて撮影したので、室内のパイプ椅子が写り込んでいる。

昨冬のある日、私の一番短い散歩順路を散策していて見たのがフクロウだった。後ろでバサッと音がしたので振り返ると20mほど先の林の木の枝にフクロウがネズミらしきものをくわえてとまっており、こちらを振り向いた。「みたな・・・」と言わんばかりに飛び去っていった。ホー、ホーという声は度々聞いていたが、まさか実物が姿を現すとは思わなかった。

今朝見たフクロウは、昨年のものと同じである可能性が高い。大きかった。羽を広げればおそらく1m超はあったかも知れない。最初トンビかとも思ったが、頭が大きくまるい。それは私の進行方向にいたので、私が近づくとまもなく森の中に飛び去った。また会おうね、と心のなかでつぶやいた。

0 件のコメント:

コメントを投稿