2015年6月18日木曜日

イケアにいけや

アイルランドのエンヤを日本人の歌手グループだと、ずっと思っていた。もとより芸能界には暗い。むかし、日本の歌手グループで、ショウヤと言うのがあったのだ。詳しくは知らない。知っているのは名前だけ。で、エンヤも同類だろうと思っていた。語感が日本語っぽいのである。大勢に影響はない。

アイルランドに住むようになってから、それらが別モノであることに何となく気がついていった。ショウヤについては未だ何も知らないが、エンヤについてはほんの少しだけ知っている。

彼女の歌の雰囲気は、例えてみれば、暗闇がせまる夕暮れの湖に靄がかかり、それを背景にボーっと光る妖精たちが湖面を遊弋(ゆうよく)している、そんな感じである。私が思っているよりはるかに有名らしい。

スウェーデンに出入りしていた頃、IKEAを知って、少し驚いた。「池谷」と言う日本の家具屋がこんな地の果てまで来て商売をやっているのか、と思ったのである。当時スウェーデンで知られた日本のモノと言えば、寿司と空手くらいなものだったから。

イケアは本家ストックホルム圏では郊外に2店舗あるだけである。確か両方に行ったことがある。両方に行っても意味はない。売っているものも配置もほとんど同じだから。たまたま、厳冬期に最北のイケアに行ったことがあるが、中身は同じであった。ただ、緯度的にはほとんど北極圏、隣接する川を渡ればそこはフィンランドであった。国境を越えても、旅券検査も何もない。ただ寒いだけだった。

ダブリンの北、空港近くにイケアができると聞いて喜んだが、私が在愛中には完成しなかった。そこは、きわめて治安の悪い地域で、店ができても万引きで潰れるぞ、などと陰口を言うものもいた。

さて、日本である。皮切りは千葉で、今は随分増えた。と言っても、私は長野の山の中、普段はニトリのお世話になる。ついでながら広告で、お値段以上ニトリ、と歌っているが、私に言わせればお値段相応。私個人の感想だが、イケアについては意匠(デザイン)や品質においてお買い得感がある。イケアは言うなれば欧州のニトリで、金持ちは行かない。日本でも金持ちは大塚家具に行くのだろうと思う。

イケアが立川にできた。立川は昔の縄張りの中なので、心安い。佐久からは距離的にも時間的にも一番近いイケアになった。近いといっても、我が御用邸からは片道180洋里(km)はある。

私は、ご幼少のみぎりより、床に座るのが苦手で、うちにも長椅子(ソファ)が欲しかった。でも、ニトリのものは気に入らなかった。イケアには値段と意匠で妥協できるものがあった。

電子頭脳網で梱包の大きさを調べ、我が愛車(軽貨物)の荷室を計って見た。入りきらなければ貸し自動車屋で貨物車を借りるつもりだったが、計算上は助手席の背もたれを後ろに倒せば、辛うじて積めることが判明した。

超早朝に佐久を出発し、国道をトコトコトと走った。途中一回だけ車中で仮眠をとり、多摩湖を経由して立川に入る。私がいた頃に工事が始まったモノレールは、あたかもそれが昔からあったかのように走っていた。玉川上水駅も様変わりして、立体交差になっていた。

店内は世界中どこも同じである。イケアの家具の大方は買った後、自身で組み立てなければならない。二階の展示場で、居間、寝室、そして台所などの雰囲気を再現した中に、組み立て済みの実物が展示されている。小さなモノは、階下の倉庫に行って自分で台車に乗せ、同じ階の支払い場所で清算する。大きなものは、展示階の担当にその旨を伝え、書類に記入する。その後階下の支払い場所に行って清算すれば、モノが台車に載せられて運ばれてくる。(展示場からの連絡で、既に台車に乗っている)

私の場合、長椅子を据えるのが狭い居間である。搬入経路は、どう考えても玄関も勝手口も狭すぎて無理である。居間のガラス戸からも無理。すなわち、どこからも搬入は無理なのである。これがミソ。イケアの家具は、基本的に自分で組み立てるようになっている。買うときは分解された状態で買ってきて、自分で組み立てるのである。難しくはない。はなから丈夫で、いい意匠(デザイン)で、使いやすく、安価な家具を(貧乏人にも)、と言うイケアの企業理念が窺える。

寸法上は乗るハズ、であった。が、一抹の不安があり、展示階の担当(すらりと背の高い美人であった。まったく絵に描いたようなIKEAの社員であった。ああ、あと20歳も若ければ・・・^^;)にあらかじめ話しておいた。もし、私のロールスロイスに納まりきれなかったら配送を、と。また、ここでは支払いが終わった時点で、店員さんは一切手を貸してくれない。たとえモノが重くて車に乗せられないとしても、彼らは何もしてくれない。支払い場所に戻って泣く泣く大枚をはたいて配送を頼まねばばらない。
※実際、配送料は大きさや重量の割には高くない

私の長椅子は、幅220洋寸、奥行き88洋寸、高さ92洋寸である。組み立て前は、二つに分けて梱包されている。大きいほうが骨組みと洋座布団が入っており、長さが199洋寸。この長さが昇降機(エレベーター)に乗るかは、支払いのときにあらかじめ確かめておいた。大丈夫の由であった。重量は66洋貫(kg)ある。もうひとつの梱包は、長椅子の被い(カバー^^;)であり、これは重量、寸法とも問題なし。

駐車場までたどり着き、車の後部扉を開けて積み込みを開始したが、66洋貫は、ひとりで積み込むにはなんとも重い。私は、欲に駆られて頑張った。これが配送依頼となったら、1万少々余計に払わねばならなくなる。

イケアでは、もうひとつやらねばならぬことがある。ホットドッグを食うか、ミートボールを食うか・・・。
ホットドッグと珈琲で150円。ホットドッグは欧州のIKEAで食べた味とまったく同じで、妙にうれしく、かつ懐かしかった。好物の鰊の酢漬けも欲しかったが、高かった。

帰路は、懐かしい場所などに寄り道をしたかったが、車が曲がるたびに、積荷が左右に揺れてゴットンと穏やかではない。よってほぼまっすぐ来た道を帰った。暗くなる前に佐久に着いて、長椅子の組み立てをしたかったが、それは叶わなかった。

翌朝、荷物を車から出すのがまた大変だったが、結果はすべて良となった。

もとより欧州人の体格に合わせて設計されており、座面が平均的日本人には少し高い。深く掛けると踵が心もとない。寝そべって電気受像機(テレビ)を見たり、本を読むときは、肘掛がちょうど良い枕となる。三人掛けなので、横になれば頭からつま先まで真っ直ぐにして寝られる。自分で選んだ色もこの部屋に合っている。難も無くはないが、気に入っている。






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