2011年5月11日水曜日

ドロボー、その2

軽井沢にいた。何でも軽井沢と名がつけば格が上がる。軽井沢の北には群馬県の長野原町や嬬恋村があるが、そのあたりにある別荘地はみな「軽井沢ナントカ」である。明治乳業の軽井沢工場はなんと佐久市の平賀というところにある。軽井沢からは車で小一時間もかかるような、軽井沢とは縁もゆかりもないない土地柄である。フッフ(鼻でせせら笑った音)。

ついでに書けば長野新幹線(正確には北陸新幹線)佐久平駅からJR小海線に沿って国道141を清里方向に向かう途中右側に洞源湖という案内標識がある。これには驚いた。葦の疎らに茂った、小さな池である。また、近くに美笹湖というのがあり、これも案内標識があるが、ただの溜池である。双方佐久市の観光名所らしい。一見の価値は・・・まったくない。

そう、私は軽井沢の知人宅の庭にいた。四方を林に囲まれ、別荘が点在する。と、道の右手より前掛けをしたおばあさんとその孫と思しき女の子がやってくる。私にはまだ気がついていない。女の子を道端に残しておばあさんは向かいの別荘の敷地に入っていった。周囲を気にする風は見えない。

そのおばあさんはそこで何をしたか?山菜ドロボーである。タラの芽ドロボーをしたのである。道に戻ったおばあさんと私は目があった。おばあさんは悪びれるでもなく、女の子を促して去っていった。

明らかにあのおばあさんと女の子はその別荘の人間ではない。子供を迎えに行ってその帰りに人様のモノを失敬したのである。

良い事をしても、悪いことをしても、誰が見ていなくても、自分の中の神様が見ている。このおばあさんの悪い所は、可愛い孫に「それはなんでもない事だ」、と見せたところにある。そんなことを吹き込まれた孫こそいい迷惑である。

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