2012年5月4日金曜日

ボケ来(きた)る

夜が明けるのが随分と早くなった。最近は次の次の冬に備えての薪づくりに忙しい。加えて庭の雑草たちとの戦いもこちらが押され気味で、それでも今やっておかなければ今月の下旬にはまた渡欧の予定があり、帰りは10月の中頃である。怠ければ家があっという間に雑草に埋もれてしまう。昨年は帰ったのがやはり10月の中頃で、家についてタクシーを降りた途端に家の様相が一変しているのに愕然としたものである。

昨年だって家を出る前には頑張って芝を貼ったり、じゃがいも畑をつくったり、カボチャの苗をひとつだけ植えたり、雑草を引っこ抜いたりしていったのであるが、約半年に渡る留守中にじゃがいもも芝もカボチャも他の雑草と区別がつかなくなっていた。驚いたことに植えた覚えのないトマトやスイカまで生っていた。食べられる程のものではないにしろ、それらはまごうかたなきトマトとスイカでなのであった。
あれはまるで植物の精霊たちが私の留守をいいことに真夏の饗宴をしたかのような光景であった。

我が家では規則によって除草剤は使わない。草刈機も使わない(お金がない・・・これが本音^^; )。雑草はすべて手で引っこ抜くか、鋤簾(半円状の鍬のようなもの)で表面の土とともに削りとる。土地の面積が314坪少々(1000㎡と少し)あるので、大変な手間である。

タラなどは天ぷらが美味しいだの山菜の王様だのと言うが、私にとっては迷惑この上ない。トゲが幹全体に生えており、葉を広げた後はお世辞にも綺麗とはいえない。おまけに芽が出るとそれを狙ってドロボーが来る始末である(昨年の記事を御覧ください→
「ドロボーさん、ごめんなさい」http://michioscud.blogspot.jp/2011/05/blog-post_08.html)。
で、渡欧の前に彼らを根本から全部切ってしまった。ところがである。帰ったらあ~ら不思議、切る前より本数も、その丈も長く、逞しく復活していた。彼らにしたら切られたことによって「大変だ~、緊急事態だぁ、存亡の危機だぁ」というわけだったろうが。

タケニグサにも驚かされた。この雑草、つい数日前に電子頭脳情報網で調べたらアルカロイドを持つ毒草だそうな。いかにも品の悪い、オドロオドロしい葉と茎を持つ。これがしぶとい。地表に生えている部分なんぞいくらやっつけたところで、地下に伸ばした根っこを掘り起こして百たたき日干しの刑にしなければ根絶できるものではない。ここ数日は領内巡回の折にはシャベルを持参して歩く。ちょっとでも地表にでたらそこを深めに掘る。すると土に埋もれてわたしを謀(たばか)らんとしていた次の芽の数々が陽のもとに曝される。根は橙色で、土中の新芽はミョウガの親戚のような色形である(ちなみに私はミョウガも大嫌いである)。こんなものが人によっては観葉植物にしているという。私にとってはバケモノである。

時は春である。当地では桜も今が満開。斜向かいのS さん宅の枝垂れ桜は樹高は高くなく、それでいていい姿をしており、丹精の結果か見事な濃い桜色である。梅は盛りを過ぎたもののまだ頑張っている。例年に無く鶯が其処此処で爽やかな声を聴かせてくれる。ユキヤナギが白い小さな花をたくさんつけて、これもなかなか豪華だ。レンギョウももう少し色の濃いヤマブキも今が盛り。水仙は今週で終わりだろうが芝桜はまだまだこれから。

早朝散歩で気がついた。ボケが今を盛りにその濃い朱色を誇っている。茎の高さはせいぜい2~30洋尺(cm)。びっくりするほどきれいな花である。そして秋には果実がなる。小さな青りんごのような果実であるが、その薫りがいい。これが我が家では雑草なのである。退治しても後から後から生えてくる。根が丈夫でこれを土中にのばしてそこから新しい芽を出す。逞しいことよ。小心で根性なしの私はいつかこの根っこを煎じて飲んでみようかなと心ひそかに思うのである。

繁茂しても引っこ抜かない雑草がある。野性のスミレが二種類ほどある。領内いたるところにあるが、故意には抜かない。丈が高くなるわけでなし、葉もたんぽぽのように他の雑草を遠ざけんと張り広げる様子もないからだ。しゃがんで顔を近づけて観ると話しかけたくなるほど可憐で愛らしい。

そもそも雑草とは言っても他の植物と混在しているから見苦しいのであって、仮にどれか一種類をまとめて丹精すればそれは綺麗だと思う。たんぽぽだって鉢植えにして肥料をやればきっと見事だと思う。

昨秋庭の厄介者のひとつ、アケビを鉢に植えて共に冬を越そうと試みた。途中で彼は降りた。自ら葉を落としてしまったのだ。やはり野におけアケビ蔓。

そのアケビの鉢に柿を食うたびに種を埋めた。全部の芽が出て現在八本ある。もう霜が降りることもないだろうから地面に下ろしてあげようと思っている。この実食いたさにあと少なくとも八年は生きねばと思った。(本日のお題からしてもしや私に・・・が来た、と小躍りしたキミ、残念でした)

※写真はボケの花

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