2011年7月9日土曜日

続 英国

まだ、英国にいる。夏の間は日本に帰るつもりは・・・ない。

ここはスコットランドの北部である。緯度は北欧ストックホルムやアラスカのアンカレジと大差ない。日本の近くで言えばカムチャッカ半島の付け根のあたりである。樺太の北端よりかなり北であることは間違いない。気候は温暖である。意外に思われるかも知れないが、メキシコ湾流の影響でここより緯度の低い(つまり南の)ヨーロッパの内陸よりはかなり暖かい。しかし、緯度が高いということは夏は日が長く、冬は日が短い。先日夏至を迎えたときは深夜近くなっても外で新聞が読めるほどであったし、朝は3時過ぎにはもうすっかり明るい。

夏は暑くなくては、という人にはここは向かない。毎日イチゴが食べきれないくらい赤くなっても朝夕は長袖のフリースが必要なほどで、雨など降れば暖房が必要になることも稀ではない。ここは夏が短い。夏が短いところはそれが急にやって来る。一斉に草花が芽を吹き、花を咲かせ実を結ぶ。暑い夏はここにはない。しかし昼の時間が長いのと雨がよく降るので植物がよく育つ。

ここは日本に比べると虫が圧倒的に少ない。(蚊やアブ、危険なライム病を媒介するダニはいる)ゴキブリやバッタなどは見たことがない。ガも蜘蛛も少ない。蛇やトカゲなどはいるらしいが私は見たことがない。(そのかわり湖にはネッシーがいるが)

自然は好きだが虫が苦手という人にはもってこいの場所である。物価は安くはないが、人々は親切である。問題は彼らの早口と訛りである。

私の初めてのスコットランドはセントアンドリュースである。ゴルファーたちのメッカである。ゴルフ界で「The Open」と言えばここで行われる大会のことだそうな。またチャールズ皇太子の息子ウイリアム王子が卒業した古い大学の街でもある。繁華街は小さく、賑わいはないが古い建物が多く、清潔で落ち着いた雰囲気であった。わずか一週間ほどの滞在だったと記憶しているが、一番心に残ったことが彼らの訛りである。

私はエジンバラで飛行機を降り、バスに乗ってセントアンドリュースに着いた。そこから知人宅まではタクシーである。ところがタクシー乗り場が見つからない。標識どおり歩いても場所がわからず、同じところを行き来した。するとひとりの男性が私に近づいて来て、何かを言った。わからなかった。3回ほどだったか聞き返すと男性は途方に暮れたようだった。そこにもう一人男性が現れ、何か言った。私には解らない。私はほんの少し英語ができるだけで、他の外国語は解らない。2人の男性は何か話している。この二人は同じ国から来た人たちらしい。

私は二人にタクシーと繰り返し、行き先の住所を書いたメモを示した。すると彼らのひとりが地面を指し何か言った。見ると確かに薄くはなっているがアスファルトの上にペンキでTAXIと書いてある。見つからない筈である。私はタクシー乗り場にはポールが立っており、そこにタクシーと書かれてるものだと思って探していたのだ。

そこに折よくタクシーが来た。なんと男性は私のメモを取り上げてタクシーの運転手に何事か話しているではないか。驚いたことに彼らの会話は成り立っていたのである。私は二人の男性は最初から外国人だと思っていた。しかし、ここで気がついたのである。大都会ならいざしらず、タクシー運転手は地元の人に違いないと。そして地元の人間と話しが通じるなら二人の男性もまた地元の人間に違いないと。

彼らはスコットランド人だったらしい。そして彼らが運転手に話していたのは、この東洋から来た紳士がこの住所のところに行きたがっている、ついてはよろしく頼みたい、とこう言うことだったらしいのだ。

かねてから聞いていたスコットランド訛りの洗礼をあびたわけであった。出発目前に、ある人は私のために真剣に彼らの訛りの強いことを心配し、またある人はニヤニヤしながら私をからかった。

それにしてもこの訛りの強さはどうだ。人々の優しさはどうだ。この気候の良さはどうだ。(私のいるところはスコットランドでも海流の関係で特に気候がいいらしいが)

追記
ある時、街のある団体の食堂で昼ごはんを食べていたら、日本人の団体が押しかけてきて断りもなく人の食事風景をカメラにおさめ始めた。日本でだって勝手に人にカメラを向けるのは失礼だと思うのだが、カメラを持っていると何か特別な権利でも自動的に生じるのだろうか。非常に不愉快な思いをした。

2 件のコメント:

  1. 僕の現在の直の上司、一人はスコットランド人、もう一人は北アイルランド人(しかも激早口)で毎日洗礼の雨あられですww。

    こうなるともう英語という単語でひとくくりに出来ないくらい激しい訛りが職場で横行しています。

    聞き取れなかったときは聞こえなかったフリしてもう一度聞いてますw

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  2. ・・・。異な事があるものだ。私のブログに投稿が・・・と思いきやおもいっきり身内ではないか。
    このブログ、著者の偏見を父として、またその辛口を母として生まれたひねくれ者だけに読者はほとんどいない。それでも英国とアイルランドにいくばくかの読者が存在していることは私の放ったスパイからの報告で承知している。
    さて、イングリッシュ(英国のイングランド地方に住む人々
    )でさえスコットランド人の訛りは聞き取りにくいと言う。いわんや外国人である我々においてをや、である。
    ひできす(アイルランドの壷の筆者)、Snigel(説明の必要はない。アイルランド真実紀行の筆者)の両氏はどう誤魔化したものか語学が堪能である。彼らにしてもスコットランド人の訛りは解りづらい。そこで私は今回の滞在中に是非ここの訛りを習得してダブリンを訪問し、彼らと旧交を温めたいものだと思い始めた。

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